Alien Project - Activation Portal [2/2]

Trance (Full On), Trance 2 Comments

06. Activation Portal

アルバムタイトルともなっている「Activation Portal」。

音色にクセの少ないGated Synthを多用した王道的なスタートを切るも、アルバム前半の曲と比較すると、穏やかなサウンドといった印象を受ける。曲の序盤で時折入り込むノイズ寄りのシンセや、深いディレイの掛けられたボイスパッドなどは、ほどよいアクセントといった所であろうか。アルバム前半で聴かせたシンセ使いとは違い、強烈なキャラクターを生み出すものではない。

中盤からは徐々にアッパーな方向へとシフトしてゆく。テーマは終始一定なものを聴かせるが、ブレイクを挟む毎に、ゴリゴリとしたシンセが次第に前面へと押し出され、ベースラインとユニゾンするかの如くリンクし、ブライトシンセが映えていた序盤〜中盤とは全く違ったサウンドを展開してゆく。これと同時にコードも動くため、自然とリスナーの期待感、高揚感も高まるようだ。

終盤は引き算的にパートを減らし、クールダウンして終了。実に安定したサウンドではあるが、曲構成としては平凡であり、タイトル曲である事も含めて、物足りなさは否めない感がある。

07. Get Up

ポジティブ感に溢れるアグレッシヴナンバー「Get Up」。アルバムの後半であるが、曲のテンションは衰える事なく続いてゆく。

スタートから空間いっぱいに広がってゆくシンセが印象的だ。アシッド色を抑えた、レゾナンスは強いが柔らかみのある音色である。ベースやキックは他の曲と比較しても、そう代わり映えしないが、アクティブに操られる上モノをしっかりと支えつつ、芯のあるサウンドをドライヴしており、ここでも安定感は抜群だと言えるだろう。

「So Get Up!」のタイトルコールを曲全般に渡って効果的に使用し、「アゲ」のポイントを巧みにリードしている点もポイントだ。超ディープなディレイ+リバーブが加わっているため、存在感も十分にアピールできるものがある。3:45付近のブレイクから多用され、ピークタイムまでの期待感を煽る手法で、ライヴ感を演出している点も記しておきたい。

また、表情豊かに変化する短音アルペジオはもちろん、付点8分音符の長さを基準としたシンセのアーティキュレーションを強調するなど、なかなか凝った「上モノ使い」を披露してくれる曲でもある。

08. Groovy (Remix)

T.I.P(The Infinity Project)Worldのオーナーであると同時に、40年以上にも渡って音楽活動を続けてきたサイケシーンのドンことRaja Ram。この「Groovy」は彼とAlien Projectととのコラボであり、前作「Don’t Worry Be Groovy!」にも収録されていた曲であるが、今回はRemixという形で再収録。ビッグネームとのタッグだけに、パワフルなフルオンサウンドが遺憾なく繰り出されてゆく。

カットオフ周波数を徐々に変化させる手法で、じわじわとキックの音色が太くなってゆくイントロからスタート。そこに飛び込んでくる動きの激しいベースラインは、正に「グルーヴィ」。bIII音やbVII音を経由しコード感を印象づけている。

そして「やはりRaja Ram」スタイルといった所だろうか。付点八分のディレイおよびゲーティングとともに展開されるエレキギターのパワーコードが強烈な存在感を放っている。ブレイクと共に「Groovy?」のボイスサンプリングが顔を出し、オープンハイハットとAlien Projectお得意のアルペジオ、そしてRaja Ramのギターが一気にスパークする展開。思いっきり爽快なパートの連続に、リスナーはノックアウト必至である。

頻繁なブレイクを介して展開するバリエーション、組み合わせの多さも特徴的だ。3:45付近でリフレインする、ブライト系シンセによるアルペジオ、同じく 6:10付近でリフレインする、アシッド系シンセによるアルペジオは、それぞれ表情が違っていて実に面白い。このあたりがAlien Projectの「職人芸」だと言って良いだろう。

決してRaja Ramに頼りすぎる事なく、互いのセンスを見事なまでに融合させ、オリジナリティ溢れるサウンドに仕上がっている名曲だ。アルバムの流れも兼ねてポジティブに楽しみたい。

09. Yellow Blaze

いきいきとドライヴされる、パワフルかつソリッドなバッキングパートの上に、綺麗なテーマが曲全般を駆け巡るモーニングナンバー「Yellow Blaze」。クリーンと歪みの対比が実に美しい曲だ。

イントロからポリ系のシンセが溢れ出し、モーニングの肝である浮遊感を演出すると、息をつく暇も無く、レゾナンス周波数の変化を伴う歪み系シンセが登場。疾走感に溢れ、曲にほどよい緊張感を与える、重要かつ「カッコいい」パートである。

1:20付近のブレイクから序盤のテーマフレーズ(bA G bE 〜)がリフレイン。響き渡るそのフレーズは、ここからコードに動きが与えられる事も手伝って、安心感のある、心地よい空間を演出している。

中盤では「bA B C bE」のスケール・トーンで構成されたテーマが繰り返され、より一層の高揚感を与える中、曲はブレイク。徐々に加速し、雲を突き抜けてゆくかのごとく、一気にピークへと突入する。ロックテイスト溢れるバッキングの上に、様々なシンセが飛び交うその様子は、フロアやミッドナイトの野外で、様々な光が交差しているかのようだ。

後半にかけ、ポリ系・歪み系シンセとが絡み合い、曲はクールダウンへ。アルバム収録曲の中では、構成・展開共に満足のいく内容。耳に馴染みやすいテーマの存在も良い味を出している。

10. Aztechno Dream (Shanti rmx)

ラストを飾る「Aztechno Dream (Shanti rmx)」。原曲はAlien Projectの3rdアルバムに収録されていたものだが、「A Machine’s Dream」などのアルバムで有名なShantiがRemixを手掛け、再収録となっている。クレジットには記されていないが、ボーナストラック的要素が強いものだと考えられる。(楽曲自体は良質であり、「おまけ」として扱うものではない。)

イントロから不穏な空気が立ち込める中に、ノスタルジックなテンション・コードが登場。これはbIIの半音進行を取り入れたもので、ゴアトランス全盛期のような、不安定感を醸し出すサウンドである。中盤から後半にかけてのピーク直前でも再度リフレインする。

明らかにこれまでの音色とは違う、ボトムの太いリズムトラックがスタートすると同時に、美しくも妖しいm7th系テンション・コードによるアルペジオが繰り出され、空間の広がりを演出する。曲の雰囲気が一定せず、目まぐるしい展開だ。

中盤以降ではよりダークかつヘヴィーとなったリズム隊に乗せて、前半のアルペジオを含めた様々なテーマが展開されてゆく。アシッドシンセの入れ替わりは激しいが、決して「やりすぎ感」はなく、あくまでも色付け程度のものである。

そして後半、メインテーマは徐々にエグいシンセFXに取って代わり、サイケ感を倍増させてゆく。ただでさえ骨太のサウンドに、エッジの効いたこの上モノがじわじわと乗ってくるため、かなり緊張感が高いサウンドだと言えよう。ラストはその勢いを残したまま、シンセの渦に飲まれるかの如く曲は終了。

これまで一貫してポジティブな表現であったアルバム収録曲とは、一線を画したサウンドであるが、オールドスタイルと現代のフルオンの見事な融合は、聴き応え十分であると言えるだろう。

まとめ

全体を通して一貫したポジティブなサウンドが魅力である。また、リミックス陣(04.Tweaky 08.Groovy 10.Aztechno Dream)が良いポジションで収録されているため、アルバムの流れとして「飽きさせない」作りとなっているのは流石といった所か。前半の鍵を握る「N.R.G」や、歌モノを取り入れた「Deeper」の存在も同時に大きい。

音質面では、極端に良いとは言えないが、少し霧がかったような独自のクセがある音で、曲に対しても言える「スペイシー感」を演出させている(10.Azetchno Dreamは例外)。良く言えば、中高音の際立った煌びやかなサウンドだが、欲を言えば、リズム隊にもう少しパンチが欲しかったとも思う。

良くも悪くも進化を続ける「現代」のフルオン・サイケシーンを象徴する今作「Activation Portal」。初期とはサウンドカラーが異なっているため、戸惑う方もいるかも知れないが、逆に、これだけ進化を続けるAlien Projectのようなクリエイターは、次回作が楽しみだとも考えられるだろう。